International Dental Clinic（国際歯科） | 日記 | 独創か猿真似か。

日本社会というのは、協調を重んじる。確かに、協調というのは素晴らしい概念である。お互いを尊重して、お互い助け合うということだからである。しかし、協調を重んじていたら、同じような考え方の人間ばかりが集まってしまうことになる。そこから外れる人間、つまり、協調を乱す違った考え方をする人間は排除されることになる。そうならないだろうか？つまり、協調が良いことだとみなされるのは、同じような考え方をする人間がいて、外部環境が変化せずに順調に物事が進んでいるときだけである。つまり、出る杭を必要としない時だけである。しかし、今の世の中、グローバル化の波に押されて社会環境が、すぐに変化してくるのである。それだけではない。気候変動によって、我々の生きる環境も激変しているのである。加えて、いつ、巨大地震が襲ってくるかもしれない。昨日も東京が揺れたということで、未だに交通機関はマヒ状態である。東京も危ないのである。有楽町で逢いましょうと、呑気なことを言っている場合ではないのである。

　そして、協調ばかりしていたら、独創的な発想が生まれてこない。なぜなら、協調してうまくいっているのだから、そこから違った発想が生まれてくる必要はないからである。しかし、今や環境が激変するのが当たり前のようになってくると、それに合った今までとは違った行動様式を取らなければ、生き残っていけなくなる。従って、協調では環境の激変に耐えられないのである。

　和を以って尊しと為す。一見、素晴らしい概念だと思われるが、裏を返せば、出る杭は打たれるということであり、和を乱しちゃいかんよ、ということは、そこからはみ出す考えなり、行動は駄目だよ。ということである。しかし、これでは、全く新しいことにチャレンジして、現状を変えようとすることは出来ない。しかし、現状を変えなければ生き残っていけない。なぜなら、外部環境が激変してくるのだから。つまり、独創的な考え方をしなければ、生き残っていけないということになるのである。

　日本人は猿真似なら得意中の得意のお家芸である。それも堂に入っている。原型を遥かにしのぐ猿真似である。これはこれで素晴らしい資質だと思うのである。が、しかし太平洋戦争の時を思い浮かべて頂きたい。日本は究極の戦闘機ともいえるゼロ戦を作ったのである。しかし、あまりにも軽さを重視するあまり、削ってはいけない部分まで削ぎ落して、その性能を上げようとしたのである。だから、翼はぺらぺらのふにゃふにゃだから、急降下する時に空中分解してしまうのである。それと私が一番感心するのは、ゼロ戦の機関砲の位置である。あれはプロペラの後ろから打っているのである。計算していなかったら、自分で自分のプロペラをぶっ壊してしまうではないか！あれは間違いなく、機関銃の弾が物凄い速度で回転しているプロペラに当たらないように、何らかの仕掛けがされているのである。これは究極のこだわりである。しかし、それと比較して、グラマンの方はどうだろうか？下手なこだわりは一切していない。機体も頑丈に作られている。馬力は２０００馬力とゼロ戦の１０００馬力の倍である。又、機関砲は翼に取り付けられている。そんな日本みたいな人命も何もかも無視したような作りにはなっていないのである。とにかく、頑丈に作られていて、燃料も各所に搭載可能に作られていたのである。

　その一方で、アメリカは既にレーダーという、最新式の敵探知装置を作り上げていたのである。連合艦隊がミッドウエーに到着する遥か前から、連合艦隊はアメリカのレーダーによって、既に捕捉されていたのである。そして最後には原爆である。これでは日本も全く勝ち目がなかったのである。つまり、いくら猿真似しても独創的な全く新しい技術には歯が立たなかったのである。

　私は、コロナ以降の日本を憂いている。日本の将来はコロナ以前に戻ることではない。と考えている。そこに日本の将来はないと思う。コロナを契機に全く違った、独創的な社会を作っていくことこそが、日本が生き残れる道だと私は疑わないのである。コロナ以前に戻ったところで、既に日本社会は衰退の一途を辿っていたのである。ならば、未来に飛躍する日本をどう、作り変えていくべきか？それが問われているのではないだろうか。

　結論として、猿真似でもいい。健康でさえあれば。どこかで聞いたようなセリフだが、社会が健康であるためには、猿真似だけでは駄目なのである。独創性が必要なのである。人が見向きもしないようなものに着目する。そういう多角的かつ独創的な視点が必要なのである。協調して、他人とうまくやっていく日本型の社会も良いが、意外に人が思いもしないような視点から物事を考えていくのも又、とてもとても意味のある素晴らしいことだと思うのである。