International Dental Clinic（国際歯科） | 日記 | パンとサーカス

わしは、今の日本の現状に少々、冷や水をさそうと思っている。それが善良な一日本国民の務めだとも思うからである。

　古代ローマ帝国において、ローマ市民をロ－マ帝国に繋ぎ止めた政策というのは、いわゆる十分な食料と、彼らを熱狂させる娯楽であった。ローマ帝国の為政者は、あのローマのコロッセウムで、ローマ市民に残酷な格闘技を観させて、熱狂させたのである。もともと、格闘技をするのは、奴隷だったので、死のうがどうなろうが構わないのである。そこで、奴隷に剣と矛を持たせて、どちらかが、死ぬまで、戦わせたのである。それを観て、ローマ市民は我を忘れて、どちらかが殺されるまで、固唾を呑みながら、その狂演に見入ったのである。それがローマ帝国を維持させていく一つの政策であったのである。

　わしが、何を言いたいのかは、もう、お分かりだと思う。今の日本の現状である。政府は自分たちの政権を維持したいがために、このコロナ禍に、コロナを忘れて、国民を熱狂させる、娯楽を与えているのである。言わずもしれたオリンピックという娯楽である。

　大半の国民は、そのことは、分かっておられると思うのであるが、わしは悪者となっても良いから、ここで、警告させて頂きたいのである。政府、自民党の思惑に乗るな、と。

　こういうことを言えば、必ず、反発が起こるのは、わしにも分かっている。現に今までオリンピック中止と言っていた野党のアホどもがオリンピックに乗っかろうとしている。

　わしは、オリンピックを否定するつもりもなければアスリートを応援するつもりもない。ただ、わしは、わが愛する、このまほろばのヤマトの行く末を案じているだけである。ローマも末期になると兵役につかないローマ市民の代わりに、傭兵を雇い、それをローマ帝国国境の守備にあたらせたのである。そこにフン族に追われたゲルマン民族が国境を越えて、なだれこんできた。泡を食ったローマは、その侵入を防ぎ切れなくなり、そのことが一因となって、さしものローマ帝国も東西に分裂して、滅んでいくのである。帝国を支える兵隊が傭兵では、さすがのローマもひとたまりもなかっただろう。

　もしも古代ローマ帝国の為政者が、2000年後の現代の東京の光景を観たら、どう思うだろうか？感心するだろうか、それとも「我々と同じことをやっているではないか！」と言って、口元をまげて、苦笑いを浮かべるだろうか？わしには、分からないのである。

（後記）ここで、オリンピックのためにどれぐらいの国民への負担がかかるのか、という意地悪い試算をしてみようと思う。
　まず東京都民一人当たり、１０万。東京以外の大多数の国民一人当たり、１万ぐらいになる。とすると、総額２兆円になる。しかし、オリンピックの経済波及効果はほぼ０だとすると、丸、丸、損失は２兆円ということになる。たとえ、微々たる波及効果があったとしても、それは、オリンピックをやったがための交通規制等、インフラにかかる負荷と帳消しになるだろう。それだけではない。オリンピックのために作った、あの連休のお陰で、吾輩の診療にも支障を来したのである。ということは、日本中、至る所で、仕事に支障を来しているはずである。
　しかも、コロナがオリンピックのせいで、感染爆発を引き起こすとすれば、その損失は計り知れないのである。現に、おそらく、このまま感染状況が推移していけば、遠からず、東京の一日感染者数は１万人に達するだろう。それでも、このままオリンピック、パラリンピックを続けていくのだろうか？
　不思議なのは、現政権を担っている連中が、こんな現実を突きつけられても、良く、のうのうと寝ていられるのが不思議で仕方がないのである。それとも、オリンピック、パラリンピックが終わった時点で、もう辞めると、腹をくくっているのだろうか？わしには、分からないのである。

　しかし、わが国の総理大臣というのは、人間関係の機微が分からないというか、口下手というか、良く、あんな人材を総理大臣にしたと思えるのである。もちろん、操り人形には違いない。しかし、操り人形でも、突然、操り手に刃向かうことだってあるのではないだろうか？それが、人間的だと言えば、人間的だと思うのだが。そこの所がわしには分からない。こんな状況を突き付けられても、胃が痛くならないだろうか？肺が苦しくならないだろうか？頭がガンガン響いてかち割れそうにならないのだろうか？曲がりなりにも、一国の頭（かしら）である。勘弁してちょ～だゃあ。